WC

綺麗なトイレでウンコをしたくて、デパートの大便器に腰を下ろした。

 

ウンコをひり出す時のオノマトペは数あれど、その日は西海岸の音楽にも匹敵するようなブリブリ音だった。

と同時に、外から小学生ぐらいの子供の「ぶへへへへへへあっ」と言う笑い声が聞こえてきた。

音が外に漏れていたらしい。

だとしても、笑うんじゃないよ。

ウンコぶつけたろか。

 

このブチかまし音は、大人になった今でこそ恥ずかしくも無くなったが、若ければ若いほど悩ましい問題だと思う。

特に先述した小学生のような年齢であれば誰かに聞かれたと同時にイジメの対象にもなりえるし、好きな人が予想だにしない音を出せば百年の恋も冷めてしまうかもしれない。

 

「じゃあ音姫(流水音を再生する最近のトイレ機能)があるじゃないか」

なんて野暮な考えは甘い、スニッカーズぐらい甘い。

音姫を実際に使ったことがある人だとわかると思うが、あれは涙ぐましい企業努力でリアルな流水音を追求し過ぎたがために、ウンコサウンドに負けてしまうのだ。

要は音が小さい。

どうせなら土石流ぐらいにしてくれないとあのけたたましい騒音を上書き出来ないのだ。

 

しかしながら、考え方としては間違っていないと思う。

例の忌々しい排泄音を消すには、それ以上の大きい音を鳴らせば解決するはずだ。

そうなったら答えは一つしかない。

もう勘の良い方は、何を流せばいいかわかっているだろう。

そうだ、EDMだ。

エレクトロダンスミュージックだ。

これさえ流せば無問題。

渋谷のチャラ箱、DQN車、これらに次いでトイレをEDMの鳴り響く環境にすれば勝ちも勝ちだ。

 

一定のリズムが反響する一畳間。

ここはワンルーム・ディスコ

回るミラーボール。

ごっさファンキーなベースライン。

僕の腸内環境が『パルプ・フィクション』のジョン・トラボルタのように激しく踊る。

 

 

 

 

何言ってるんでしょうね。

すみません、水に流して下さい。